KDDI株式会社は18日、NTT東日本およびNTT西日本(NTT東西)が提供を表明している光アクセス回線の卸売サービス「サービス卸」について、公正な競争環境と利用者利益を確保するための必要なルールを整備するよう、総務省に意見申出書を提出し、回答を求めた。
NTT東西では、現在「フレッツ光」として提供しているアクセスサービスを、他の通信事業者に卸売する「サービス卸」の提供を5月31日に発表。NTTドコモがこのサービス卸を利用し、携帯電話回線と光回線のセット契約で利用料を割り引く「ドコモ光」を2015年2月に提供開始することを発表している。
KDDIでは、18日に情報通信審議会で承認された答申において、NTT東西がサービス卸を提供するにあたって講じるべき措置の検討は総務省に委ねられ、具体的な措置の内容については明確になっていないと説明。電気通信事業法第172条に基く意見の申し出として、具体的な措置の内容などについての回答を求めている。
申出書では、適切な措置が講じられないまま、NTT東西によるサービス卸や、これを利用したNTTドコモの「ドコモ光」が開始されれば、利用事業者にとって十分な透明性が確保されなくなり、競争環境の後退を招き、利用者利益を損なうことになると主張。具体的な措置としては、NTT東西のサービス卸について、約款作成義務・公表義務を課すことや、特定の事業者を不当に優遇することのないようガイドラインを作成し、監視する仕組みを構築することを挙げている。
また、サービス卸の開始により、事業者による無秩序な営業活動が行われる懸念があることや、事業者の変更に伴ってこれまで利用できていた電話番号が利用できなくなるなど利用環境が大きく変化するおそれがあるとして、消費者への混乱を与えないよう、番号ポータビリティの問題などを含む、事業者間のサービス切り替えに関する運用ルールを定めることを求めている。
さらに、こうしたルール整備にあたっての必要な措置として、サービス卸をNTT東西の新たな活用業務として届け出させることや、他の事業者が対応するために十分な準備期間を設けてサービス卸やドコモ光を開始するよう、NTT東西とNTTドコモに指導することなどを挙げている。
(三柳 英樹)
関連リンク プレスリリースhttp://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2014/12/18/839.html
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