開発されたD帯のパワーアンプ
日本電気株式会社(NEC)は、Beyond5G/6Gの無線通信を実現するための150GHz帯のパワーアンプ(増幅器)を開発したと発表した。出力電力は10mWで、同社によれば150GHz帯で世界最高の出力だという。
Beyond5G/6Gでは、現在の5Gよりも高速な100Gbps級の高速大容量通信が期待され、そのためには10GHz以上の周波数帯域が確保できるサブテラヘルツ帯(100~300GHz)のうち、固定無線通信用に国際的に割り当てられているD帯(130~174.8GHz)の早期実用化が期待されている。今回の150GHz帯のパワーアンプはその周波数に対応するものとなるという。
開発したパワーアンプは、量産実績のある0.1-μm ガリウムヒ素(GaAs)pHEMT(疑似格子整合 高電子移動度トランジスタ)プロセスを採用。CMOSやシリコンゲルマニウム(SiGe)と比較すると、高耐圧な特性があり、量産時のイニシャルコストを抑制できるという。さらに回路設計の工夫で110~150GHzの特性が優れ、GaAs pHEMTとしては世界最高の出力電力を有するパワーアンプになっているという。
本パワーアンプについて、同社では、100GHz超帯の無線通信装置の高性能化、低コスト化を実現し、Beyond 5G/6Gの社会実装を加速するものだとして、早期の装置開発を目指すとしている。
本研究は、総務省委託研究「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」の成果の一部。本技術の詳細は、1月22日から米国・ネバダ州ラスベガスで開催される国際会議「IEEE Topical Conference on RF/Microwave Power Amplifiers for Radio and Wireless Applications(PAWR2023)」で発表される。
関連リンク プレスリリース
関連記事
高周波数帯の有効活用に向けた一歩。28GHz帯を使った遮蔽物がある中での分散MIMO実証実験に世界で初めて成功、NTTら3社
2022年11月7日
2023年の電子情報産業は「過去最高の世界生産額を更新する見通し」、JEITA時田会長が事業方針示す
2022年12月16日
NEC、専用の光海底ケーブル敷設船を長期チャーター、英GMSLと45カ月間の契約
2022年10月17日
連載
中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」
総務省が「Beyond 5G」(6G)に向けたロードマップを公表 ほか
2020年7月3日
連載
中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」
すでに始まっている「6G」の主導権争い ほか
2020年1月24日
インタビュー
“6G”に向けて「電波×インターネット」はどう進化すべきか? 村井純と湧川隆次が書籍『アンワイアード』に込めた思いを語る
2021年10月7日