国際児童基金(ユニセフ)のキャサリン・ラッセル事務局長と国際刑事警察機構(インターポール)のユルゲン・ストック事務総長は4月13日、世界各国の政府がインターネット上で子どもの性的搾取や虐待などを防ぎ、対処に向けた支援をする協力協定に署名した。日本ユニセフが発表した。
協定では、子どもの性的搾取や性的虐待などの犯罪に対する各国の法執行機関の対応を改善するため、協力して以下のような支援を実施するとしている。 インターネット上の子どもの性的搾取や性的虐待を調査する専門部署やチームの設立を支援し、すでに存在する場合はその実効性を高めるインターネット上の子どもの性的搾取・虐待に関する被害者と犯罪者の特定、デジタルフォレンジック(電子情報の科学的捜査)、子どもにやさしく被害者本位の聴取、インターポールの国際児童性的搾取(ICSE)データベースの利用などに関し、法執行機関の職員が最新の知識と技能を持てるよう、研修と体系的な専門家育成を推進する法執行機関と社会サービスおよびその他の被害者支援サービス提供者との間のよりよい連携を促進し、被害者・サバイバーが、刑事司法プロセスを通して、またそれ以降も、連携のとれた多面的支援が受けられ、全人的な回復が支えられるようにする
本協定は、両組織の世界的な活動範囲と強みを活用し、子どもの生活を守り、改善することを目的としているという。インターポールは世界195の国と地域におよぶ法執行ネットワークを持ち、ユニセフは190の国と地域で活動し、子どもの保護プログラムを通じて政府やパートナーを支援している。
ユニセフの最新データによると、12の低・中所得国で、インターネットを利用する子どもの最大20%が前年にインターネット上での性的搾取・虐待を経験したと回答しているという。また、各国のホットラインや情報センターのデータからは、インターネット上での子どもの性的虐待コンテンツが拡散していることが示唆されているとしている。
インターポールのストック事務総長は「世界中の捜査官が、インターネット上の子どもの性的搾取・虐待の被害者と加害者を特定する活動をしているが、この問題への取り組みは、法執行機関の範囲を超えている。今回の協定は、子どもの安全を守るには我々全員の力が必要であることを確認するものであり、ユニセフの知識とリソースが、現場での法執行活動を改善するのに役立つだろう」とのコメントを寄せている。
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