「フレッツ・ADSL」サービス終了のお知らせと代替えサービスのご案内(NTT東日本のウェブサイトより)
東日本電信電話株式会社(NTT東日本)と西日本電信電話株式会社(NTT西日本)は1月31日、以前から告知していた予定どおり、ADSL回線サービス「フレッツ・ADSL」の提供を、一部のエリアを除いて終了した。
フレッツ・ADSLは、2000年12月にサービスを開始。2005年度に契約回線数がピークを迎え、NTT東日本は300.1万回線、NTT西日本は268.2万回線に上った。その後、後継の代替サービスとなる光回線「フレッツ光」への移行などが進み、2021年度末でNTT東日本が11.9万回線、NTT西日本が16.6万回線にまで減少していた。
「フレッツ・ADSL」が今後しばらく提供される地域も。
2025年1月末まであと2年間延長
NTT東西は当初、2023年1月31日で全てのエリアでフレッツ・ADSLのサービスを終了する予定だったが、代替サービスのフレッツ光の提供が開始された時期が遅かったエリアなどでは、ユーザーが移行準備をする期間を十分に確保するためにフレッツ・ADSLのサービス終了を延期。引き続き2025年1月31日までの2年間、フレッツ・ADSLを継続して提供することにした経緯がある。
具体的には、フレッツ光の提供開始が2022年2月1日~2023年1月31日と直近の1年間だったエリアが該当する。具体的な地名は挙げられていないが、山間部や離島などのエリアとみられる。
NTT東西では、サービス終了を延期したそれら一部エリアにおいても、フレッツ光への移行を促すために、移行時の初期費用を無料にするなどの料金割引を実施している。
一方で、2023年2月1日現在も、代替サービスとなるフレッツ光がまだ利用できないエリアもあるという。こうしたエリアにおけるフレッツ・ADSL回線の取り扱いについては「検討中」(NTT東西・広報)だとしているが、延長提供を終了する2025年1月末という時期については「現時点で変更する予定はない」(同)としている。
フレッツ・ADSL(DSLアクセスサービス)をお使いの方へ(NTT西日本のウェブサイトより)
「フレッツ・ADSL」とは?
フレッツ・ADSLは、電話線を用いて高速な通信が可能なADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者回線)を用いた、定額制・常時接続のアクセス回線サービス。光ファイバーなど新たに回線を敷設しなくても、既存の電話線を利用しているため、最小限の工事で利用できるのが特徴だ。
ADSLの接続イメージ(NTT東西の2020年12月12日付プレスリリースより。同日付の関連記事『NTT東西、「フレッツ・ADSL」12月末より提供開始』参照)
フレッツ・ADSLのサービスがスタートした2000年12月当時の最大通信速度は、下り1.5Mbps/上り512kbpsだった。料金は、回線を電話サービスと共用するタイプが月額4600円、共用しないタイプ(電話サービスは使わず、電話回線をADSLのためだけに利用する契約)が月額6200円だった。
「フレッツ・ADSL」はサービス開始後、通信速度を高速化したプランが段階的に投入された。写真は、2001年12月に下り最大8Mbpsのサービスが開始された際に発売された加入者向け機器「ADSLモデム-MN」。
「フレッツ・ADSL」の歴史
~ INTERNET Watch/BB Watchの記事で振り返る
2000年NTTの「IP接続サービス」、7月より全国の主な都市へエリア拡大NTT東西、「フレッツ・ADSL」12月末より提供開始NTT東西、DSL接続料を補正、フレッツ・ADSLも月額4,600円に
2001年東西NTT、ADSLモデムの売り切り制を導入へNTT東西、フレッツ・ADSLの月額料金を250円“だけ”値下げNTT東西、フレッツ・ADSLを月3,100円に値下げ~今度こそギリギリ?~NTT東日本、フレッツ・ADSLに最大下り8Mbpsの接続メニューNTT東日本、フレッツ・ADSLで8Mサービスを正式発表、1.5Mの値下げもリクルート、ADSLユーザーの実態調査を発表NTT東日本、フレッツ・ADSL用のADSLモデムを自由化NTT東日本、フレッツADSLとモデムの接続性を確認できる環境を構築
2002年清水理史の「イニシャルB」第11回:フレッツ・ADSLを8Mタイプに移行~8Mタイプ ADSL 3回線を比較する~NTT、最大12MbpsのADSLサービス「フレッツ・ADSL モア」を発表NTT東西、「フレッツ・ADSL モア」の伝送距離延長を正式発表NTT東西、フレッツ・ADSL モア対応モデム内蔵の無線LANルータ
2003年NTT西日本で「フレッツ・ADSL」が100万回線を突破メルコ、ADSLモデムのフレッツ・ADSL接続保証を断念NTT西日本、下り最大24Mbpsの「フレッツ・ADSL モア24」NTT東日本、下り最大24Mbpsの「フレッツ・ADSL モアII」NTT東西、下り最大24MbpsのADSLサービスを7月より提供開始NTT東日本、フレッツ・ADSL モアIIに対応したADSLモデム4種線路長約2km環境でのフレッツ・ADSL モアII効果は?NTT東日本、「フレッツ・ADSL モアII」を下り最大40Mbpsに高速化NTT西日本、下り最大40Mbpsの新サービス「フレッツ・ADSL モア40」フレッツ・ADSL モアII高速化の効果を検証
2004年NTT東西、フレッツ・ADSLに下り最大47Mbps、上り最大5Mbpsの新プランNTT西日本、「フレッツ・ADSL モアスペシャル」を8月5日より開始NTT東日本、下り最大47Mbpsの「フレッツ・ADSL モアIII」を8月6日開始上下ともに高速化を図った「フレッツ・ADSL モアIII」の実力を検証NTT西、「フレッツ・ADSL モアスペシャル」対応ADSLモデムなど4機種NTT東日本、「フレッツ・ADSL モアIII」対応ADSLモデムなど4機種を発売首都圏ではFTTHがADSLの純増数を上回った~NTT東日本の大木常務取締役
2005年NTT、12月末のBフレッツ契約数は143万件。フレッツ・ADSLは500万を突破NTT東、下り最大1Mbpsの低価格サービス「フレッツ・ADSL エントリー」
2006年2006年度末にBフレッツがフレッツ・ADSLの契約数を上回る~NTT東西事業計画NTT東、Bフレッツ契約者数が1年で100万件増加。フレッツ・ADSLは減少に
2007年NTT東西、Bフレッツ契約者数がフレッツ・ADSL契約者数を上回るNTT、Bフレッツとフレッツ・ADSLの契約数が逆転。ひかり電話は317.4万件
2008年総務省発表、ブロードバンド契約数でFTTHがDSLを初めて上回る
2009年日本の商用ADSL、9月1日で10周年
2015年NTT東西の「フレッツ・ADSL」、新規受付を2016年6月末で終了、部品製造終了のため
2017年「フレッツ・ADSL」2023年にサービス終了、「フレッツ・ISDN」は2018年に新規受付を終了へ
2022年「フレッツ・ADSL」のサービス終了が一部エリアで2年延期、2025年1月31日まで提供「フレッツ・ADSL」サービス終了の2023年1月31日まで、あと1カ月余り。ただし一部エリアでは2年間延長
関連リンク 「フレッツ・ADSL」サービス終了のお知らせと代替えサービスのご案内(NTT東日本) フレッツ・ADSL(DSLアクセスサービス)をお使いの方へ(NTT西日本)
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